ちょっと早めですが5年目の点検に伺いました。
2年目でちょっと気になったのが桧大黒柱の背割れの開きでした。
もうちょっと時間をおいて、さらに乾燥したら対策しましょう、とお約束して2年ちょっと経過しましたが、開き具合は2年前とほぼ変化がありません。
5年点検と一緒に、背割れも補修する事になりました。
なかなか、見る事のない補修です。担当は一級大工技能士登録№4の超ベテラン佐藤棟梁です。
そういえば昨年訪れた、伊勢神宮の鳥居の丸柱も背割れの処理には結構手間をかけておりました。
まずは背割れと隙間の状態を確認
既存埋木のどちら側に新たに埋木するかを決めて、片側にノミを入れる。
木工用ボンドを注入し埋木をタタキ入れる
埋木は桧をクサビ状に加工する
余分な埋木をノミを使い丁寧に取り除いて行く
表面はノミとカンナを使い平坦に仕上げる
お見事完成しました。
埋木した部分が白っぽいのですが、着色してはいけません、2年もすれば他の部分と同じ色になります。それが無垢材です。
背割れとは木材を内部まで乾燥させるために通常壁の内部に隠れる面に材料の中心部までノコを入れ、材料の内外から乾燥をさせようという物です。
現在は背割りをしないでも乾燥する事が出来ますが、過乾燥による色抜け・黒色化などのリスクがあり、出来れば背割りを入れ自然乾燥による方が望ましいと思います。
しかし、自然乾燥程度では室内でエアコンを使った場合材木の乾燥が進み背割れも大きくなりますので、化粧柱などで見える柱については、今回のような補修が必要になってきます。
なお柱に背割れを入れる事により強度が低下するのではないかと質問されますが、柱として使用した場合の強度低下は考える必要のないレベルである事が実験により証明されております。